ドル/円相場は、92~94円のレンジで揉み合う展開に。2月11日には一時94.46円まで値位置を切り上げるも、その後は15~16日に20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を控えて様子見ムードが強まり、明確な方向性を打ち出せていない。本格的にドル高・円安基調を修正するような動きは見られないが、仮にG20で海外から円安批判の動きが強まれば円の下落余地は限定される可能性が高いだけに、短期筋がドル買い・円売りポジションの修正を進めた模様だ。
G20であるが、基本的には日本の脱デフレ戦略に対して名指しの批判は避けられた。「競争目的のために為替レートを目標にしない」と明記されたが、日本に関しては意図的な通貨の切り下げではなく、経済を発展させる政策と評価されている。為替レートの特定水準に言及することには批判的な声が相次いだが、少なくとも日本の現行政策に対する批判的な声は限定されており、全体としては円安基調に修正を迫るようなイベントにはならなかった。日米金利環境などからは、既に「行き過ぎた円高」を是正する局面は最終ステージに近づいているとみており、従来のような急激な円安圧力が再現されるリスクは低下している。
このため、今後のドル高・円安シナリオとしては、米サイドの動向に対する関心が高まると考えている。米10年債利回りは2%の節目前後での不安定な状態が続いているが、20日には米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(1月29~30日開催分)が控えており、ここから米金利が一段高を試すような動きがみられるか否かに注目したい。流れとしては、日米金利差拡大の動きがドル/円相場の一段高を促す方向性でみている。
今後1週間の予想レンジは、92.75~95.00円。